御来光の滝 Goraikou WaterFalls
石鎚山の御来光の滝。この滝は面河から土小屋に向かう石鎚スカイラインの土小屋手前にある駐車場から遠望することが出来るが、滝までの道のりが遠くて険しく、大多数の方々はこの滝を間近に見ることは出来ない。

私は少年の頃(十数年前ですよ)にこの滝の存在を知り、そのカッコいい名前に魅かれて興味を抱き、滝までの道のりが険しいとわかると益々その神秘性に魅かれ、いつか必ず行ってみたいと思うようになった。いわば御来光の滝は、常清滝と共に私が「滝バカ」になる原点となった滝なのだ。

面河の石鎚スカイライン入口駐車場での車中泊の夜が明け、そんな私の少年時代からの夢を実現させる1日は始まった。
目が覚めて身体を動かしてみると、前日の石鎚登山の疲れは微塵も無い。そのうち私の名前が広島県の住民台帳の「タフ」の欄に記載される日が来るかも知れない。その為にはまず朝飯だ。
カップラーメンにインスタント味噌汁が付くという豪華朝食を済ませ、モーニングコーヒーを飲みながらトイレ付近を見ていると、インターネット上で顔に見覚えのある男性をトイレの前で発見!

アッ、ひろっさんだ!
早速手作り名刺を持って、立ち話をしている男性二人に声を掛けると、やはりひろっさんであった。もう一人の男性はHPで四国の滝を沢山紹介しておられるなかちゃん。

ひろっさんによると、おいわさんは少々遅れるかも知れないとのこと。3人で立ち話をしていると鉄人おいわさんが到着。この日はおいわさん一行に加えていただいて悲願の御来光の滝に挑戦である。
駐車場からの御来光の滝遠望。
石鎚スカイライン途中にあるこの駐車場は「長尾根展望所」と呼ぶらしい。

前日石鎚から下山した後、ここで会った尾道から来た男性の車もあるが、男性はいない。御来光の滝が目当てで尾道から来ていたようなので既に滝に向かったのだろうか?私は前日この男性とかなり会話を交わしているのだが、男性の名前を聞くのを忘れているという初歩的ミスを犯していた。仕方がないのでここでは「尾道のAさん」と呼ぼう。

ともあれ8:00頃、例のカーブミラーの所からガードレールを跨いで谷底に向かって降りていく。踏み跡が明瞭でわかりやすいが、行けども行けども底が見えてこない深い谷を降りていく急勾配の道である。

8:20頃、ようやく谷底に着く。そこは水が全然流れていない石がごろごろした川原で、堰堤があり、堰堤から下流には水が流れ出していた。どうやら流れてきた石が堰堤に堆積し、堰堤手前で伏流水になっているようである。
私は堰堤下の淵に溜まったエメラルドグリーンの水の美しさに驚いて、一人で感動しているのだが、四国の御三方は「見慣れているんで、さも当然」といった感じ。
中国地方では川の堰堤付近の水は概ね汚いのである。
堰堤でしばし休息。スカイラインからの下りは中国地方ではチョットお目にかかれないような急勾配で、膝や脚の筋肉にかなり負担がかかる。帰りはここを登らんとイカン訳で、最大の難関と言えそうだ。
帰路の急登のことはあまり考えないことにする 巨岩・巨木が点在する原生林の中を行く
堰堤から約30分で七釜
道は何度か川を渡河しつつ、川の右岸を通って続いていく。

途中でおいわさんからバミューダトライアングル(おいわさんのHP参照)にハマリ込まないポイントなどを聞きながら、しばらくは原生林の中の気持ちの良い行程が続く。

犬吠、魚止の滝を右手の眼下に見ながら進み、南沢が左岸に合流する場所を通過。おいわさんによると、ここを遡上していくと石鎚山頂に行けるとのこと。かなりハイレベルなコースでしょうね。
やがて目指す御来光の滝が視界に入ってきて、滝の全景が見える大岩に着く。
Dreams Come True・・・
大岩で休憩した後、「あと100m」とのおいわさんの言葉通り、すぐに滝直下に到着。
10:00を少し過ぎた頃だから、2時間チョット時間を要したことになるが、おいわさんのHPを拝見すると早いペースだったようである。

途中で追い越し、私たちより遅れてやって来たグループに同行している尾道のAさんを発見。尾道のAさんは、私と同じ広島県から同じ日に御来光の滝に挑戦するという、何かしらの縁を感じるのだが、前述のように名前を伺っていない。またどこかの滝でお会いしたいものだが・・・
真下からでは上部は見えない 下から見上げた図
水の多くない滝なんで滝下に淵のような滝壺は無いが、その分滝の間近まで接近できる。
落差は諸説あるようだが、102mが信用できそうだ。
途中から晴間が出てきていい感じ
下から見上げている私をおいわさんが呼んでいるので、私も滝が横から見える場所に行く。ただし大岩の積み重なった滝前を、右岸から左岸に移動するのがチョット一苦労。
なるほど、紅葉との組み合わせが素晴らしい
我々は小高い展望台のような場所に登っている訳だが、狭い場所なんで撮影は順番待ち。
私は感動の連続 左岸側から全景
おいわさんの鉄人ぶりを目の当たりにする 中央右の「専用飛沫撮影ポイント」に立つおいわさん
あの場所が「おいわさん専用」である理由がわかりました。私には登ることは出来ても降りることは出来ないでしょう。

この後昼食。御来光の滝の下で尾道のAさんと滝談義をしながらの昼食はまた格別。

尾道のAさんたちは我々より一足先に滝を後にするが、我々はもう少し粘って滝の写真を撮りまくる。何時間いても飽きない滝空間がここにはあるのです。

私は後学の為に、三脚を使っているおいわさんや、なかちゃんの撮影テクニックを興味深く見学。
ずーっとここに居たい気分だが、それでもやはり帰らない訳にはイカナイ。帰途は犬吠の滝と魚止ノ滝にも寄っていく。
犬吠の滝
犬吠の滝は魚止ノ滝より約50m下流に合流する左岸支流にかかっている。ひろっさんによると御来光の滝のある本流より集水面積も広く、水が多いのではとのこと。確かにそんな感じ。ひろっさんは仁淀川にこだわったHPを持っておられるので、面河川上流域の地勢や植物などにとても詳しい。

ひろっさんに教えて貰って初めて気付いたのだが、この犬吠の滝の周囲には沢山のシャクナゲが群生している。ひろっさんによるとツクシシャクナゲとのこと。確かに私がこれまで見てきたホンシャクナゲとは木も小さくて感じが違う。おいわさんにも登山道の随所でシャクナゲが咲くと教えて貰ったが、ここは5月に来ると綺麗でしょうね。
魚止ノ滝
魚止ノ滝は本流にあり、滝壺が大きい。無論エメラルドグリーンの透明度の高い水をたたえている。
七釜
ところで「七釜」と書いてどう読めばいいのでしょう?
手付かずの原生林は素晴らしい
14:00頃、堰堤まで戻り最後の休憩。予想は無論しているし、道中散々諸先輩方から聞かされたスカイラインまでの「地獄の急登」が待っている。
体力の足しにするべく、ソーセージをかじって心の準備も整ったところで最後の急登に挑む。

予想通り中国地方では有り得ないレベルの急登。行けども行けどもスカイラインのガードレールは見えてこない。そんな急登を延々と喘ぎながら登っていった頃、ようやくクラクションの音が聞こえた。
スカイラインを行く車のエンジン音が聞こえてくるとゴールは近い。呼吸を整えながらゆっくりと登っていき、15:00前頃ようやくガードレールを跨いでスカイラインに出た。

私に何年か振りの「筋肉痛」をもたらした、この最後の急登はこの日の全行程の中で一番の難関でした。おいわさん、ひろっさんの体力には脱帽。

長尾根展望所に戻った我々は、マイペースで登ってくるなかちゃんを20分程度待つが、申し訳ないと思いつつ「面河ふるさと市」に向かった。(広島に戻ってから、HPでなかちゃんも無事帰還なさったのがわかって一安心)
私の長年の悲願がこうして達成された訳だが、おいわさん、ひろっさん、なかちゃんには言葉では言い表せない程感謝しています。皆さん本当に有難うございました。
 遅越の滝に行く
 
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