雲井滝 Uidaki WaterFalls
島根県では邑南町日和にも「雲井滝」があるが、この出雲にある雲井滝は「ういだき」と読み、邑南町日和の雲井滝は「くもいだき」と読むので区別に注意を要する。
この日行ったのは出雲の「ういだき」である。

「偏見」で物事を見ていると必ず「落とし穴」がある。当初この滝の存在を知った時、私は「出雲の市街に近いし、さしたる規模ではないだろう」と見くびっていた。

先週島根の滝音さんに虹ヶ滝を紹介し、虹ヶ滝だけでは寂しい気がしたので、ついでみたいな気持ちで「出雲市朝山町の神社付近にも滝があるみたいですよ」と教えてあげたのだが、「規模が小さくて、滝音さんが落胆なさるのでは」と内心心配していたほどである。

ところが、である。事態は全く予想してなかった方向に展開した。
雲井滝に行かれた滝音さんが、雲井滝を絶賛なさっているではないか!これは全くの想定外だが、私も行かずばなるまい。

ということで急遽出雲行きを決め、54号線・雲南市掛合から「龍頭ヶ滝」へのルートでもある県道・湖陵掛合線に入り、出雲市佐田町から国道184号線を北上する。

立久恵峡から朝山郵便局を過ぎた所に「宇比多伎トンネル」がある。ちなみに「宇比多伎」とは出雲風土記に登場する、雲井滝のある山のことで、雲井滝が山名の由来となっているようである。
そして、山の上にある朝山神社は古来「雲井滝明神」と呼ばれていたとのことである。何度も通っている道なんだが、トンネルの名前など気にもしていなかったナ・・・

宇比多伎トンネルを抜けて少し行き、鋭角に右折して林道「雲井滝線」に入り、朝山森林公園に向かう。
 朝山神社。古くは「雲井滝明神」と呼ばれたそうな。
神社周辺は公園化され、大きなすべり台なども見える。
 説明を省こう。
案内看板を参考に、神社脇から滝に向かう。
 ここには日本海と「斐伊川」が一望できると書いてある。
坂を登ると、すぐに東屋のある見晴らしの良い場所に着く。
 日本海と出雲市街と・・・斐伊川?
案内には「斐伊川」とあるが、実際に見えているのは「神戸(かんど)川」である。この場にて訂正させていただく。
 滝への遊歩道を下る。
案内看板に「インネン」をつけるのはこのくらいにして、滝に向かうことにする。
 トキワイカリソウ。
 どこにでもあるスミレ。
 この時期よくあるコバノミツバツツジ。
展望台というほどのものはここには無いが、建造物も何も無い、自称「展望台」(展望所と称すれば文句はない)に着くと、確かに凄い光景が目に飛び込んでくる。
 雲井滝・上の滝。
なるほど凄い滝である。80m級の落差を感じる滝だ。
 
集水面積は小さく多くの水量は期待できないかも知れないが、なかなかの見応え。
 明らかに岩瀧寺の滝より上。
これなら滝音さんが絶賛なさるのも当然だ。
 滝口の上に橋が見えている。
実は、この滝口にある橋が大いに景観を損ねていて、滝音さんは大変御立腹であった。
 落差も凄いが、滝姿も素晴らしい。
何も無い、自称「展望台」からさらに道が伸びているので行ってみると、つきあたりが絶壁になっていて、さらに滝が落ちている。左手に目線を向けると滝口があるではないか。
 下の滝の滝口。
かなりな角度と高さ(20m以上)の絶壁なんで、下の滝の全容を伺うことはできない。下の滝は下流側から(大ヤブだろうが・・・)アプローチしないと見ることができないようだ。

ヤブの中に分け入って「中の滝」を探す。
 中の滝。何段かのナメラ滝がある。
中の滝はヤブに覆われて全貌が良く見えない。

ヤブに入ったついでに、上の滝の滝下に行ってみる。
 上の滝下部。
滝の左手から登れる所まで登ってみた。
 ここからは上部が見えない・・・
大汗をかいて急斜面を登り、遊歩道に戻った。
 やはり「展望所」から見るのが一番良いらしい。
地形図も参考にしたところ、三段の滝の総落差は120mくらいあるだろう。この雲井滝こそ島根一の滝である。

三段合わせた全景を一望出来ないのがとても残念。
私が行った翌日行かれたMさんによると、下流からのアプローチでも、下の滝は見えるが木々が邪魔で全景は見えないとのこと。
 滝音さん御立腹の原因となっている橋。
確かに、下から見えないように橋をもう少し手前に作るくらいの配慮があってもいい筈だナ。
 問題の橋からは滝口と、はるか下に神戸川が見える。
かなりの落差のある滝だとわかっていただけるだろう。

ちなみに滝口の標高はおよそ140m。付近の神戸川の標高は、かなり下流でもあり、15mあるかないかである。



ほとんど存在を知られていない滝なんだが、出雲風土記にも山名の由来ともなって登場するということは、古くから出雲国髄一の滝だと当時の人々に認識されていた何よりの証拠だろう。

情報化が進んだ現代の我々が「島根一の滝」を今まで認識していなかったのは、自治体批判にもつながるのであまり言いたくないが、ある意味問題だろう。

出雲市にある雲井滝(ういだき)は「島根一」の滝です。
佐田町・朝原郷地内の滝に行く
 
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